ビルドツール gradle、普及の兆し ―― あのプロジェクトの採用が影響

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これまでにも数多のビルドツールが存在した。UNIX 環境には make や configure のようなツールがあり、Java アプリのビルドには antivymaven などが使われていた。一見して成熟した(枯れた?)かのように見えたこの分野だが、ここ最近話題に挙がっているのが gradle である。

なぜ gradle を使うのか? ―― ビルドツールの課題と解決

https://flic.kr/p/cH9ScG

規約と柔軟性のジレンマ

ant を使ったことがある人ならば、他人が書いた build.xml の読みづらさにうんざりしたことがあるのではないか。その理由は、ant がビルド職人に対して処理の流れを 1 から自由に記述させるようにできているからである。別の言葉で言うならば、規約(決まり事)がないのだ。処理の順番、ディレクトリーの構成、依存関係など、すべての規約をビルド職人が考えて build.xml を記述するのである。これが原因で、ビルド職人独自の可読性の低い build.xml が出来上がってしまうのである。

そこで maven では規約の概念が導入された。ビルド職人は規約を守ることによって 1 からビルド処理を記述せずに済むようになったのである。逆を言うと、これによってビルド処理の規約がビルド職人の手からツール側へと渡り、ある意味ブラックボックス化してしまったとも言えた。maven はビルド処理の記述を軽減させてくれた反面、規約の変更をしずらくさせたのである。

そこへ gradle が現れたのである。gradle は、maven で導入された規約の概念を活かしつつ、柔軟性に富んだビルド処理を行えるようにしたのである。規約はあるが、強制ではないところが gradle の良いところである。

ビルド処理の記述性

ant や maven を使ったことがある人は、XML の余計な記述の多さに辟易としたことがあるのではないかと思う。gradle では独自の記述言語によって簡潔に記すことができる。

なぜ今、gradle なのか? ―― gradle を採用したプロジェクトの存在

https://flic.kr/p/qmXWzS

人間一人の力は非力であるが、集団の力はやはり強い。gradle の知名度を一気に押し上げたのは、Android Studio によるところが大きい。2013 年 5 月に行われた Google I/O 2013 で Android Studio のビルドツールとして Gradle が採用されたと発表されたのである。

以下のグラフは Google Trends で gradle のトレンドを表示したものである。2013 年 5 月以降に急速に伸展しているのがお分かりだろう。

gradle trends
“gradle” in Google Trends

いくら良いツールであっても、人に使われなければ廃れていってしまうが、著名なプロジェクトに採用されることで gradle は今後さらに洗練されて行くのではないかと思う。先日の Google I/O 2015 では Android Studio の新バージョン 1.3 が発表され、Android Studio は盛り上がりを見せているので、Gradle のユーザーも自ずと増加することがと見込まれる。

Gradle Summit (June 11 – 12, 2015) 開催予定

2015 年 6 月 11 日にアメリカ、カリフォルニア州サンタクララにて Gradle Summit が開催される。eclipse などの統合開発環境との利用や、jenkins などの継続的インテグレーション(CI: Continuous Integration)ツールなどの話題が取り上げられる模様である。講演内容に注目が集まる。

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